公演情報

音楽堂室内オペラ・プロジェクト第5弾
ファビオ・ビオンディ指揮 エウローパ・ガランテ
ヘンデル『シッラ』全3幕 日本初演
(イタリア語上演/日本語字幕付)

2022年10月29日(土)30日(日)
15:00開演(14:00開場)
神奈川県立音楽堂

*14:15~ビオンディと彌勒忠史によるプレトーク(日伊逐次通訳付き)

【New】ファビオ・ビオンディからのビデオメッセージ!

『シッラ』音楽監督と指揮を務める、ヴァイオリニストのファビオ・ビオンディから日本の皆さまにビデオメッセージが届きました!<動画再生は画像をクリック>

「大好きな日本の観客の皆様の前で、そして大好きな日本で、このプロダクションに再び光を与えられる、スタッフが一丸となり素晴らしい光に溢れたヘンデルの音楽をお届けすることは、まさに再生~リナッシメント/ルネッサンス~とも言えることではないか」という、希望に満ちたメッセージです!

各メディアで話題沸騰!ビオンディや彌勒忠史のインタビューなどの反響一覧!

2020年の春以来「いよいよ『シッラ』が本当に実現する!」と各音楽メディアでは話題が沸騰
5月に行われたビオンディと演出の彌勒忠史によるオンライン記者会見の反響や、個別インタビュー、さらには『シッラ』の見どころ聴きどころを深く掘り下げた2020年未完のプロジェクトの記事など、本特設サイトではニュース欄に一挙リストアップしています!
『シッラ』の何が凄いのか?リンク先の記事から、あなたの注目ポイントを見つけてください!

■バロックオペラの刺激に刮目せよ!もはや記事というよりアジ!? ぴあニュース yahooニュース>

■いま、ヘンデルのオペラがアツい。バロック・オペラと歌舞伎の交錯がもたらすリアリティ 文 布施砂丘彦 FREUDE>>

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『シッラ』公演情報

作曲:ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル Composed by Georg Friedrich Händel
台本:ジャコモ・ロッシ Libretto by Giacomo Rossi

歌劇《シッラ》HWV.10 Silla HWV.10

■チケット 全席指定 残券僅少

S席 15,000円 A席 12,000円【取扱い終了】 B席 10,000円【取扱い終了】
U24(24歳以下) 7,500円 高校生以下 0円【取扱い終了】
車椅子S席 15,000円(付添席1名無料)…要事前予約

■ご予約・ご購入

チケットかながわ(WEB 24時間)
    TEL 0570-015-415(10:00〜18:00)
 窓口
 神奈川県立音楽堂窓口
(13:00〜17:00 月曜休)
 神奈川県民ホール窓口(10:00〜18:00)
 KAAT神奈川芸術劇場窓口(10:00〜18:00)

チケットぴあ https://t.pia.jp [Pコード:217-761]
イープラス https://eplus.jp

ローソンチケット https://l-tike.com [Lコード:33451]

*未就学児の入場はご遠慮ください。
*有料託児サービスあり(要事前予約)

 ●イベント託児マザーズ
TEL.0120-788-222(土日祝日をのぞく10:00 ~12:00/13:00 ~17:00)
有料・公演1週間前までに要事前予約


■JR桜木町駅より無料シャトルバス運行(詳細はこちら)
(1)13:40 (2)13:55 (3)14:10 (4)14:25(5)14:40



世界の名手たちが結集して紡ぐ
美しく謎につつまれたバロック・オペラ!

「東洋一の響き」と絶賛される神奈川県立音楽堂の室内オペラ・プロジェクト。なかでも作曲時の楽器と演奏スタイルによる刺激的なバロック・オペラは、多くの音楽ファンを魅了してきました。
今回は世界の古楽界を牽引するファビオ・ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテヘンデル『シッラ』を取り上げます。
その魅力はビオンディによれば『何と言ってもヘンデルの美しさがぎゅっと凝縮したような音楽そのもの。」にもかかわらず歴史の合間に埋もれ「最も謎につつまれたオペラ」といわれるこの作品。共和制ローマに実在した暴君ルキウス・スッラ(シッラ)の物語。現代にもありそうなストーリーが絶妙に音楽化された傑作です
ヴィヴィカ・ジュノー、ロベルタ・インヴェルニッツィら世界の古楽界を代表する豪華な歌手陣、マルチな才能が光る名歌手・彌勒忠史演出で、日本のクリエイターと世界一流の音楽家たちが火花を散らす日本初演です。歴史に埋もれた傑作オペラを次々と上演してきたビオンディとエウローパ・ガランテですが、『シッラ』はまだ世界のどこでも演出やセットのついた舞台版としては上演できておらず、今回の日本初演は、彼らにとって完全舞台版世界初演ともなります。記念すべきこの瞬間、どうぞお楽しみに!


■CAST

音楽監督:ファビオ・ビオンディ(指揮・ヴァイオリン) Fabio Biondi
演奏:エウローパ・ガランテ Europa Galante
ソニア・プリナ(コントラルト/ローマの執政官シッラ) Sonia Prina
ヒラリー・サマーズ(コントラルト/ローマの騎士クラウディオ) Hilary Summers
スンヘ・イム(ソプラノ/シッラの妻メテッラ) Sunhae Im
ヴィヴィカ・ジュノー(メゾ・ソプラノ/ローマの護民官レピド) Vivica Genaux
ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ/レピドの妻フラヴィア) Roberta Invernizzi
フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(ソプラノ/シッラの副官の娘チェリア)
Francesca Lombardi Mazzulli
ミヒャエル・ボルス(バス/神) Michael Borth
スカブロ=神谷真士(黙役) Masato Kamiya
天使ほか(エアリアル)=桧山宏子/板津由佳 Hiroko Hiyama, Yuka Itazu
兵士ほか(殺陣)=片岡千次郎/亀山敬佑 Senjiro Kataoka, Keisuke Kameyama

■STAFF

演出:彌勒忠史 Tadashi Miroku
美術:tamako☆ tamako
衣裳:友好まり子 Mariko Tomoyoshi
照明:稲葉直人(ASG) Naoto Inaba
立師:市川新十郎 Shinjuro Ichikawa

台本・字幕翻訳:本谷麻子 Asako Honya
舞台監督:大澤裕(ザ・スタッフ) Hiroshi Osawa

2019年9月エネスク・フェスティバルでのエウローパ・ガランテによる『シッラ』演奏会形式上演。スンへ・イム(メテッラ)ソニア・プリナ(シッラ)らによる重唱のフィナーレ。

2019年9月エネスク・フェスティバルでのエウローパ・ガランテによる『シッラ』演奏会形式上演。ソニア・プリナ(シッラ)による第1幕のアリア。



2019年9月エネスク・フェスティバルでのエウローパ・ガランテによる『シッラ』演奏会形式上演。ロベルタ・インヴェルニッツィ(フラヴィア)とヴィヴィカ・ジュノー(レピド)による第1幕終幕のデュエット。

2019年9月エネスク・フェスティバルでのエウローパ・ガランテによる『シッラ』演奏会形式上演。フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(チェリア)の歌う第1幕のアリア。

日本の音楽ファンが泣いた日

2020年2月26日。日本の音楽ファンが涙を流した。

“聴き逃したら絶対に後悔する”との触れ込みで注目されていた、
古楽界のリーダー、ファビオ・ビオンディ率いる世界的アンサンブル「エウローパ・ガランテ」らによるオペラ「シッラ」が、日本のクリエイターとの協働で初めて完全な舞台版として世界初演される日まであと3日。
コロナウイルス対策の政府の要請をきっかけに、公演中止となったのだ。
ファンだけではない。

第一人者として世界の檜舞台で古の名作オペラの復刻上演の実績をつんできたビオンディだからこそ実現できるレパートリー。日本の楽壇、いや、世界でまだ誰も見たことのないエウローパ・ガランテの完全舞台版
2017年の計画発足以来3年。演出の彌勒忠史は、2019年春にイタリアに飛んでビオンディと打ち合わせ「全面的にあなたを信頼する」との力強い言葉を得て、オペラ界で活躍する気鋭のクリエイターたちでチームを組み、神奈川県立音楽堂とともに着々と準備を重ねていた。

しのびよるコロナ禍を危ぶみつつ、この世界初演を実現しようと、世界トップクラスの歌手たちが各国から来日していた。2公演のチケットはほぼ完売。韓国などアジア近隣国からも購入の問い合わせが入っており、2020年を象徴するはずのプロジェクトだった。

実現すれば、日本の音楽演奏史のマイルストーンになるはずの舞台。中止とともに、音楽堂に寄せられた全国のファン、専門家からのメッセージはたったひとつだった。

「かならず、近いうちに日本公演を実現させてください」。

世界で人の交流が途絶えたいま、プロジェクトの価値は今、ますます輝きを増している。
国際都市横浜から神奈川県立音楽堂が、時代、国籍を超えた協働で創り上げ、発信する
古い歴史のかなたから、数百年を超えてよみがえる幻の名作オペラを未来につなぐプロジェクト。
「失われた夢」を再構築し、新しい希望に変える。

「あきらめない。」――――――果たせなかった夢。コロナを超えて、再び人々がひとつになる。
今度こそ言おう。世界初の舞台作品が、目の前に、コロナ禍を超えて現れると。
それが音楽を通じた、地域と人々の新しい架け橋になると。

2020年の春、出演者、スタッフは「かならずもう一度ここで会おう」と誓い合って別れ、横浜を飛び立った。
そのメンバーが2022年10月、再び横浜に集結する。
「2020年版」をベースに、苦難の数年を経て、演出、彌勒忠史の新しいアイデアが音楽堂に実現する。

さあ、今こそ夢は蘇る。あの春の約束が果たされる。

“聴き逃したら、絶対に後悔する”!

音楽堂公演が中止になった際、帰国前のホテルの一室から日本のお客様に語りかけた
ビオンディの映像メッセージ(2020年2月 横浜)
<動画再生は画像をクリック>

2022年10月  ついに夢の舞台が実現する

 いよいよこの秋困難を乗り越えて出現するヘンデルのオペラ『シッラ』の舞台。
作曲はドイツ人でありながらイギリスにわたって「メサイア」や「水上の音楽」といった数々の不朽の名作を生み出し、国民的作曲家としてイギリス人に愛されるヘンデルです。

 彼がロンドンで書き、当時の聴衆を熱狂させた『ロンドン・オペラ』と呼ばれる名作品群。
『リナルド』や『ジュリオ・チェーザレ』など今やバロック・オペラの定番になっている名作品群の書かれたヘンデル青年期から円熟の時代の作品のひとつとして1713年にロンドンで作曲されたとされる『シッラ』は、当時一世を風靡したイタリア人ジャコモ・ロッシの台本による3幕のオペラ。
2017年、ロンドン・ヘイマーケットの女王劇場のプライヴェート・コンサートで同年に初演されたと伝わるものの、その後劇場などで一般公開上演されたかどうかの記録もなく、今もなお多くの謎が残される「最も謎めいたオペラ」とされる作品です。

 ビオンディはそんな『シッラ』を選び、ウィーンの名ホール、コンツェルトハウスで、コンサート形式で蘇演しました。

 作品を選んだ理由は「何よりもその音楽がすばらしい。ヘンデルの音楽の最も美しい部分が凝縮したようなオペラ」とビオンディは語ります。「こんにちメジャーな作品が必ずしも作曲家の最高傑作とは言えず、素晴らしい作品が埋もれてしまっていることはよくありますが、まさに『シッラ』はヘンデルの他のメジャーな作品よりも素晴らしい、知られざる傑作とさえいえるでしょう。」そしてまた「権力者のおかしさを描いたこの作品は、まさに現代の社会にもぴったりあてはまるもの」とも。

 現在は華麗な音楽や舞台だけを楽しむこともできるオペラですが、その多くには、当時はっきりと言葉に出すことが許されなかった権力者への批判や社会的メッセージなどが含まれていました。共和制ローマ時代に実在した暴君『スッラ』と彼をとりまく群像劇は、一説によれば、当時権力闘争にあけくれていた王室に対する民衆の批判の声を代弁したともいわれています。

 バロック・オペラ界の実力派歌手を集めて絶賛された初演のライブCDは世界的に高く評価され、各地でコンサート形式上演は行われていますが、未だセットや演出を伴った完全舞台版は実現していません。

 そのキャストを中心に、『メッセニア』で固い信頼関係を結んだ演出・彌勒忠史、そして彌勒が選んだ気鋭のクリエイターたちが、エウローパ・ガランテの完全舞台版「シッラ」の世界初演をここ神奈川県立音楽堂で実現します。

Glossaからリリースされた『シッラ』CD。<詳細はジャケット画像をクリック>
2020年の来日記念盤には日本語歌詞対訳もついている。
今回の来日メンバーと概ね同じ主要ソリスト陣の独唱が聴ける。

ウィーン・コンツェルトハウスで行われた公演及び公開録音風景(2017年1月)

2017年収録風景

あらすじ

<第一幕>

 ローマの執政官シッラが民衆派の政敵を撃退して凱旋門のある広場に凱旋してきた。

 妻のメテッラと護民官レピドに迎えられ祝辞を受けた後、シッラはローマに独裁政治を宣言し、何人たりとも自分の意に従うように言い放つ。その専横ぶりに、メテッラもレピドも失望するが、夫を愛する妻メテッラはなんとか夫を軟化させようと考えをめぐらす。

 レピドの妻フラヴィアは、その前夜、ローマが怪物によって灰燼に帰す悪夢を見ておののいており、レピドが彼女を落ち着かせようとしても、稲妻が凱旋門を破壊すると予言する。

 シッラの副官カトゥルスの娘チェリアと、民衆派の騎士でありシッラの反対派であるクラウディオは互いに想い合っているが、チェリアは父が仕えているシッラの反対派を愛することは出来ないと悩んでいる。そのクラウディオは大胆にも、面と向かってシッラの独裁を非難する。チェリアはクラウディオをかばおうとするが、シッラは怒り狂う。さらにシッラはチェリアの「面倒を見る」と称してチェリアを連れ去ってしまう。

<第二幕>

 神殿に人々が加護を求め集まり、フラヴィアも祈っている。その様を見てフラヴィアの美しさに欲望を覚えたシッラは彼女に言い寄るが、きっぱりと断られる。失望したシッラが夜眠りにつくと、神が現れ、ローマを恐怖で支配するよう告げる。眠りから覚めたシッラはすぐに、神殿で祈りを捧げる人々を皆殺しにする。この不敬で残忍な行為をレピドに咎められたシッラは、自分は何でも好きなようにできると傲慢に言い、レピドの妻フラヴィアを自分に譲るよう命令する。

 さらにシッラは、妻メテッラの目の前でチェリアに言い寄り、激しく非難される。チェリアはついにシッラに愛想を尽かし、クラウディオへの愛を告白する。いよいよクラウディオは打倒シッラの思いを強くする。

 シッラはその夜レピドの家に現れ、また再びフラヴィアを誘惑しようとするが、レピドに阻まれたため、夫妻を無理やり連行する。フラヴィアを自分のものにするためである。また、クラウディオとチェリアの恋人達のもとにも現れ、クラウディオを投獄し、チェリアを監禁する。そして臣下のスカブロにクラウディオとレピドの暗殺を命じる。しかしスカブロは、メテッラに説得されて、レピドとクラウディオを牢から助け出す。

<第三幕>

 メテッラに救われたレピドは打倒シッラを提案するが、貞淑な妻メテッラは、夫に失望しつつもなお、夫を殺す策には同意しない。まだ夫シッラの改心に一縷の望みを持っているのである。シッラはローマを離れシチリアへの任務を与えられる。出発前にもう一度チェリアを誘惑するが失敗し、クラウディオは死んだとチェリアに知らせ絶望させる。一方でフラヴィアにも言い寄るが、またも拒絶される。レピドも死んだと嘘をつくが、クラウディオ、レピドの二人とも現れ、二組は互いに喜び合う。

 シッラのもとに反乱の知らせが届く。シッラは気乗りしないながらもメテッラと別れを惜しみつつ出帆する。が、不安は的中し、船は激しい嵐により沈没してしまう。メテッラがシッラを救出に向かい、連れ帰る。

 一方ローマでは、レピドとクラウディオが、自由を求めて鬨の声をあげている。そこに雲の中から栄光に輝く軍神マルスが姿を現わす。皆が跪いているところに、メテッラとシッラが到着する。

シッラも膝をつき自らの権力を放棄し、妻と一緒に引退を宣言する。

大団円

キーワードは歌舞伎!? 国際コラボで日本から世界発信するバロック・オペラ

世界的演奏家たちをキャストに、日本人のクリエイターたちが協働して創造する、音楽堂から世界に発信する本プロジェクト。その舞台はどのようなものになるのでしょうか?

スコアを見ながら熱心に打合せするファビオ・ビオンディと彌勒忠史(イタリア、トリノのビオンディ宅にて)(c) Ryoko Fujihara

日本で最初の本格的な公立音楽ホールとして1954年に建設された音楽堂2021年に神奈川県の重要文化財に指定された前川國男によるモダニズム建築の美しさ、また開館当時は「東洋一の響き」ともいわれた美しい音響をほこるものの、近年建設されたホールのようにステージや舞台袖にふんだんなスペースがあるわけでもなく、音響を重視するため舞台の周囲は壁も天井も反響板で囲まれた構造です。さらに照明バトンなど大規模な舞台機構もありません。美しい音響を活かしつつも、劇場としては「ないないづくし」といえる制限の多い舞台を使って、いかにバロックの世界を描くかが、演出の彌勒忠史の腕の見せ所です。

彌勒忠史は『シッラ』日本初演に先立ち、2019年4月、イタリア、トリノのビオンディ宅を訪ねて演出打ち合わせを行い、作品の背景や意図、特徴、めざしたいイメージなどを数時間にわたりおおいに語り合いました。

ビオンディは「彌勒さんなら全面的に信頼できる。日本側クリエイティブスタッフは全て彼のセレクトでお任せします」と語り、一方、「音楽はこれ以上ないほど美しいが、ドラマトゥルギーをどう再構築するかは、演出の手にかかっていますよ」との一言も。

バロック・オペラの歴史や現場を知り尽くした彌勒忠史が冷や汗をかくシーンもありました。

「よろしくお願いします」と肩を抱き合う二人 (c) Ryoko Fujihara

2019トリノの打ち合わせでのオフショット。取材にあたった加藤浩子さん、さらにはビオンディ家の猫!?にもご注目! (c)Ryoko Fujihara

ドラマに分断や誇張があり、「権力者の滑稽さをどう描くか」がポイントの舞台。彌勒は、その基本イメージを歌舞伎からとり、日本らしいシンプルな舞台テクニックを使うというアイデアを固めました。

クリエイティブスタッフは、テレビをはじめとして、近年さまざまな舞台美術で活躍するtamako☆を美術に、日本照明家協会賞受賞者で『メッセニアの神託』の美しい照明でも高い評価を得た稲葉直人を照明に起用。さらに映像や、シルク・ドゥ・ソレイユなどでおなじみの「エアリアル」を起用することで、洋の東西を超えてケレン味あふれる楽しさを味わう、バロックと歌舞伎のアイデアがハイブリッドした舞台を創り上げます。

さらに、2020年版では着手できなかった本格的な映像収録も予定。

世界を席巻するビオンディ&エウローパ・ガランテ、世界の古楽界を代表する歌手たちという強力な発信力をもって、日本発のプロダクションを世界にむけて発信していきます。

2020年の衣裳合わせの様子から

プロフィール

◆音楽監督:ファビオ・ビオンディ(指揮・ヴァイオリン)Fabio Biondi

イタリア、トリノの街角にて (c)Ryoko Fujihara

イタリアのパレルモ出身。12歳でソリストとしてイタリア国立放送交響楽団(RAI)と共演し、国際的キャリアをスタートさせた。1990年、イタリア・バロック音楽アンサンブル「エウローパ・ガランテ」を結成し活動を始める。さまざまな音楽祭に加え、ミラノ・スカラ座、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ロイヤル・アルバート・ホール、ウィーン・ムジークフェライン、ニューヨークのリンカーンセンター、シドニーのオペラハウス、東京・サントリーホールなどに招待される。ソリスト、指揮者としては、サンタ・チェチーリア管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、ハレ歌劇場管弦楽団、ノルウェー室内管弦楽団、モンペリエ国立交響楽団、マーラー室内管弦楽団など数多くのオーケストラと共演。2005年よりノルウェー・スタヴァンゲル交響楽団のバロック音楽のための芸術監督、2011年よりサンタ・チェチーリア音楽院の学芸員。

演奏:エウローパ・ガランテ Europa Galante

1990年、音楽監督であるファビオ・ビオンディによって設立された古楽アンサンブル。パルマのドゥーエ劇場を活動拠点とし、バロック、古典の時代に作曲された作品を当時の楽器で演奏する。バロックの器楽曲だけに限らず、ヴィヴァルディの『バヤゼット』『テルモドンテ川のエルコレ(ヘラクレス)』『メッセニアの神託』のほかヘンデルの『アグリッピーナ』『イメーネオ』といったバロック・オペラ、オラトリオと、声楽を含む作品もレパートリーとしている。さらに、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院と共同でアントニオ・カルダーラの『キリストの受難』、レオナルド・レーオの『カルヴァリオの丘の聖エレナ』のような前18世紀のイタリア・オペラの再発掘や復元に尽力している。CDのリリースも多く、ヴィヴァルディ『メッセニアの神託』の盤も含め数多くの賞に輝いている。そしてミラノ・スカラ座、サンタ・チェチーリア音楽院といったイタリア国内だけでなく、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、カナダ、イスラエル、アメリカそして南アフリカまで招かれ、世界中の一流ホールで演奏している。

演出:彌勒忠史 Tadashi Miroku

カウンターテナー、演出家。千葉大学卒業。同学大学院修了。東京藝術大学声楽科卒業。国内外のオペラ・コンサート、「題名のない音楽会」「芸術劇場」などをはじめとするTV・ラジオ番組に出演。CD「B.ストロッツィのカンタータ集」(Tactus/「レコード芸術」2011年ヘヴィ・ローテーション盤)、「イタリア古典歌曲」(King Int.)、「音楽の友」2011年ベスト・コンサート第1位のユニットによる「No early music, No life?」(OMF/朝日新聞推薦盤)など、著作『イタリア貴族養成講座』(集英社)など。NHK「テレビでイタリア語」「ぶらあぼ」「教育音楽」にて記事を連載。イタリア国立G.フレスコバルディ音楽院講師、東京藝術大学音楽学部声楽科教育研究助手を経て、現在、放送大学、学習院生涯学習センター非常勤講師。日本音楽コンクール、全日本学生音楽コンクール、東京音楽コンクールの審査員を務める。在日本フェッラーラ・ルネサンス文化大使。日本演奏連盟、二期会会員。「アントネッロ」などと組んだ公演で独特のプログラムを披露し、中世やルネッサンス、バロックの声楽曲に笑いあり、涙ありの抜群の表現力を示しただけでなく、東京オペラシティ「コンポージアム2011」でのシャリーノ作品や日生劇場でのオペラ『メデア』(2012年日本初演・平成24年度文化庁芸術祭賞音楽部門大賞)の使者役で、現代作品にも果敢に取り組み、集中力の強く優れた完成度の歌を美しい声で響かせるなど、志の高く幅広い活動を行ったことにより、平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(音楽部門)を受賞した。

◆美術:tamako☆ tamako

2月16日舞台美術ワークショップ講師のtamako☆さん

武蔵野美術大学を卒業後、テレビ朝日にデザイナーとして入社。「愛のエプロン」「やべっちFC」「ミュージックステーション」など数多くの番組セットをデザインしたほか、テレビ朝日のロゴ企画開発にも携わる。2008年に退社後、フリーのセットデザイナーとして活動。テイストを固定せず多彩な提案を得意とし、舞台/テレビ/コンサート等、幅広いジャンルを手がけている。近年の舞台作品に「笑福亭鶴瓶落語会」「TSURUBE BANASHI」「日生劇場ファミリーフェスティヴァル“アリスのコンサート”シリーズ”・“アラジンのコンサート”シリーズ」がある。

◆照明:稲葉直人(ASG) Naoto Inaba

千葉県出身。学習院大学経済学部経済学科卒、1998年アートステージライティンググループ入社。吉井澄雄氏、奥畑康夫氏、塚本悟氏の各氏に師事し、オペラ・芝居・ミュージカル等の照明にて研鑽を積む。2010年からイタリアに留学。フィレンツェの劇場にて数多くの公演に関わる一方、美術家イタロ・グラッシの元で美術・照明の研鑽を積む。帰国後はオペラ芝居ミュージカルを中心に活躍。デザインした作品は500作品以上に及ぶ。バロック・オペラは『メッセニアの神託』『ポッペアの戴冠』『エウリディーチェ』等がある。

◆ソニア・プリナ (コントラルト / シッラ) Sonia Prina (Contralto / Silla)

ミラノ音楽院で歌とトランペットを学び、さらにスカラ座アカデミーで研鑽を積む。ロッシーニとドニゼッティなどのイタリア・レパートリーで、1990年代半ばからオペラ出演を始めた。 1997年にはバロック・レパートリーの歌手として活躍、クレモナ、パリ、フランクフルト等の歌劇場に出演。2000年以降は、世界の著名な歌劇場、音楽祭に数多く出演、バービカンセンター、バイエルン州立オペラ、グラインドボーン音楽祭、フェニーチェ、パリオペラ座、ザルツブルク・フェスティバル、サンフランシスコオペラ等に登場している。

◆ヒラリー・サマーズ (コントラルト / クラウディオ) Hilary Summers  (Contralto / Claudio)

イギリス生まれのコントラルト。初期バロックから現代にいたる幅広いレパートリーにより、世界中の主要なホール、オペラハウスに出演している。 3オクターブに及ぶ彼女の声域、その歌唱には多くの作曲家が注目、その書かれた作品を彼女は各地で歌っている。最近のハイライトには、エクサンプロヴァンス音楽祭、ネザーランド・オペラでのストラヴィンスキー「放蕩児の遍歴」、レアルマドリード劇場でのヒナステラ「ボマルツォ」、さらに2019年7月兵庫芸術文化センターと東京文化会館における佐渡裕プロデュースオペラ2019 バーンスタイン「オン・ザ・タウン」への出演等があげられる。

◆スンヘ・イム (ソプラノ / メテッラ) Sunhae Im  (Soprano / Metella )

ソウル総合芸術大学とカールスルーエ大学で学ぶ。歌手としてデビュー以来、ベルリン国立歌劇場をはじめフランクフルト、ハンブルク、ベルリン・ドイツ・オペラ、パリ、シュトットガルト、ウィーンの歌劇場等に出演、世界中で活躍。H.ブロムシュテット、P.ヘレヴェッヘ、W.クリスティ、T.コープマン等の指揮者との共演も多い。またヴェルビエ音楽祭をはじめ多くの音楽祭にもゲスト出演を重ねている。ビオンディとは「バヤゼット」の来日公演以来、今回が3度目の来日共演となる。

◆ヴィヴィカ・ジュノー (メゾ・ソプラノ / レピド)Vivica Genaux  (Meso soprano / Lepido)

(c) RibaltaLuce Studio

アラスカのフェアバンクス生まれ。超絶技巧とカストラート並みの音域の広さを誇る。1994年、ミルウォーキーのフロレンティーヌ・オペラでの「ラ・チェネレントラ」のアンジェリーナでオペラ・デビュー。 その後欧米各地で数多く出演、2002年のデビューアルバム「ファリネッリのためのアリア集」は素晴らしい歌唱で大きな話題となった。現代を代表するアンジェリーナ歌いとして活躍の他、めったに公演されないバロックやベルカントの諸役を演じ、レパートリーは60役におよぶ。バロックならびにベルカント歌手として世界各地で、優れた歌唱力と美声、巧みな人物描写により賞賛を得ている。2017年ドイツ・ハレ市の名高いヘンデル賞を受賞。

◆ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ / フラヴィア) Roberta Invernizzi (Soprano / Flavia)

ピアノとコントラバスを勉強後、歌を専攻、バロック時代からクラシック時代の音楽を専門としている。彼女はヨーロッパ、米国の多くの主要な歌劇場に出演、各地で賞賛を得ている。ザルツブルク音楽祭には定期的に出演、I.ボルトン、N.アーノンクール、C.アバード等著名指揮者との共演も数多い。アーノンクールには、ウィーン・ムジークフェライン200周年記念式典公演に招待された。CDレコーディングは100枚以上に及び、それらの数多くが国際的な賞を受けている。現在ナポリのセントロ・ディ・ムジカ・アンティカで歌を教えている。

◆フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(ソプラノ / チェリア) Francesca Lombardi Mazzulli (Soprano / Celia)

ミラノ音楽院で学んだ後、ミレッラ・フレーニの指示の下フェラーラのフレスコバルディ音楽院にて学ぶ。ロンドンのヘンデル・シンギング・コンペティションでの受賞の他、国際的な数々の賞を受賞。デビュー以来、彼女のコンサートやオペラ活動は、古楽界の巨匠たちと数多く共演、各地の音楽祭にも定期的に出演している。2019年日本において寺神戸亮指揮の下、ヘンデル「リナルド」のアルミレーラで出演、絶賛を博す。CD録音も多数に及びいずれも高い評価を得ている。

◆ミヒャエル・ボルス (バリトン / 神) Michael Borth  (Baritone / Il Dio)

ドイツ・ワイマール、ベルリンにて学ぶ。2014年ベルリン・フィルハーモニーにてコンサート・デビュー。 2015年から2017年の間、ヴァレンシアの王立オペラ・スタジオCentre de Perfeccionament Placido Domingo のメンバー。2017/18のシーズンはイタリア、ドイツの歌劇場の多くの舞台にデビューを果たす。今シーズンもベルリン・コミーシェ・オペラでの新作オペラ、フライブルク歌劇場では「エフゲニーオネーギン」「ドン・ジョバンニ」等に出演、その他では「ラ・ボエーム」「ペリアスとメリザンド」に登場と活躍している。


主催 神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
共催 横浜アーツフェスティバル実行委員会  横浜音祭り2022
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
   独立行政法人日本芸術文化振興会
後援 イタリア大使館 イタリア文化会館/イタリア文化省
協力 日本ヘンデル協会
令和4年度(第77回)文化庁芸術祭参加公演

関連企画開催!!演出・彌勒忠史と豪華ゲストによるレクチャー!

9月11日(日) 室内オペラ・プロジェクト『シッラ』プレレクチャー
日本伝統芸能×オペラ ‟所作とgestualitàでひもとくバロック・オペラ”

  

『シッラ』の演出を務める演出家、カウンターテナー歌手、彌勒忠史がゲストを迎えて行うレクチャーです。
『シッラ』は世界最高峰の音楽家と日本オペラ界の精鋭のコラボレーションによって日本から世界に発信するオペラ。
彌勒さんの演出のイメージは日本発祥の「歌舞伎」がキーワード。

実は西洋のバロック・オペラと日本の伝統芸能には意外な共通点がある!?

その違いと共通点、秘密を、横浜能楽堂 第二舞台(神奈川県立音楽堂ウラ)で日本舞踊家の花柳凛をゲストに迎えて探ります。
事前予約受付中。詳細はこちらから
30名限定ですのでお早めにご予約ください!

■チケット 全席指定(税込み)残券僅少!